夢旅


先日、会社を辞めました


振り返れば今までで一番長く務めた会社でした。

初めて経験した「大企業」の凄さ。

会社規模はもちろん従業員数も桁違いで、

これまでとは畑違いの業種に飛び込んだ私には

本当に何もかもが新鮮でした。


入社日が暦の中では特別な日でしたが

退社日も私の誕生日と重なるという

偶然なのか必然なのか……

とにかく忘れられない日になりました。



仕事だけの付き合いと割り切れば

ごく一部の人としか繋がりがない職場


それでも私はせっかくこんなに多くの人たちが

今同じ時、同じ会社で働いているという

機会を無駄にはしたくなくて、

できる限り行動を広げてたくさんの人と

知り合うことができました。


それが仕事とは関係なくても

その場だけの出会いだったとしても

一瞬でも同じ時を刻めたことが嬉しい


この縁を大切にしたい


またいつか、どこかで会えたらいいなと思います



最終出勤日の朝、まだ残っていた葉桜


もうあのビルに入ることもなければ

この道を歩くこともないかもしれない


そう思うといつもの通学路ならぬ通勤路?も

少しでも多くの景色を目に焼き付けようと

一歩一歩、ゆっくりと踏みしめるようにして

あるきました




夜の送別会ではサプライズの連続に

涙でぐしょぐしょでした


私が入社してからも同じ部署の方が

去るのを何度か見送ってきましたが、

今まで見たことのないプレゼントや

仲間の涙顔が並ぶのを見て、

(仕事は今一つだったかもしれないけど)

人間関係はちゃんと上手く築けていたんだな

という実感がこみ上げて、胸がいっぱいになりました


こんなに泣いて惜しんでくれる先輩・後輩に囲まれて

たくさんの激励メッセージを受け取り

贅沢なくらい、心から幸せでした


誕生日ということもあったけど

今日だけは、今日くらいは

自分が主役という幸せに浸ってもいいかしら




両手いっぱいのしあわせが詰め込まれた

紙袋を抱えながら、前回との違いに

笑いがこぼれる。

望まれない存在と、惜しまれる存在。


両者とも同じ自分だけど、やっぱり違うんだろうな。

あの時の教訓があったからこそ

同じ轍を踏まないよう必死になった自分がいて、

だからこそこの結果に繋がったんだ。


何事も無駄にはならない。

経験しなくてもいいことと言われれば

当然そうなのだけど。

無駄にしない、してやるものかと

喰らいついていガッツと、

なけなしの向上心が

あのときの私を奮い立たせてくれた



風に舞う桜のように

人の出会いは一瞬で過ぎ去るもの。

振り返っても遠すぎてもう見えない。


それでも決まって春が来ればまた咲くから

新しい場所での新しい出会いを求めて

次の旅へ出る。


四月の夜は、仄明るい


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のどか珠響

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