風のむこうに

あれからもう何年経ったのだろう


多分、改めて数えるほど時間は経っていなくて

空いてしまった時間が悲しくて  



新しい家族を迎えるということを

何度も 何度も 試みたけれど

いつも途中で泣いて逃げ出してしまう


きっとまだ心の準備も覚悟もできていなくて

わかっているのに焦がれることもやめられなくて


いつまでも思い出にしがみついて

後悔の念にとわわれ続けている



こんな広い空を見せてあげたかった


走っても走っても先が見えないほど広い大地に

放ってあげたかった


緑と風の会話だけに耳を傾けながら

名前を呼んで振り向いてほしかった


短い命の中でどれだけの世界を見せてあげられたのだろう



こんなことばかり考えて泣いてばかりだから

先に進むことができないんだろうな


でも

この気持ちを忘れることが先に進むということならば

私はここで立往生したってかまわない


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のどか珠響

のんびり屋なもの書きの綴り